旅の思い出10「山陰の名峰・大山」

山陰旅行-アゲイン-④

前の晩に“人の造りし絶景”を堪能し撮影しまくった(私意外の)メンバーは、恒例となった“夜明け前始動”し、まだ暗い山道をひた走っていた。被写体は無論朝日だが、朝日と共に山陰の名峰・大山を記録する予定だ。いつものように我々を苦しめていた雨雲も消え、どうやら予定通り朝日が撮れそうな塩梅だ。そして願いが叶うなら、名峰・大山の麓には雲海が広がっていて欲しい…この旅の初日、雲海を狙ってただ天気の悪い町の朝を記録してしまった(旅の思い出⑦)我々はリベンジに燃えていた。

朝の大山①

到着したのは鳥取県の明智峠展望駐車場。大山と雲海を狙うポイントとしてすでに有名なようで、我々が到着した時には数台の車が停車していた。(カメラバッテリーも親の仇のように充電し)気合いの入った我々は勇んで飛び出したが、外の冷気に1秒で心が折れた。晩秋にさしかかる山陰の、それも夜明け前の峠の空気は激しく冷やされ、この旅行の為に用意したヒートテックインナーも凍り付く寒さだった。まだ暗い峠で、小刻みに震える手で三脚さえも旨く掴めない寒さの中で、私は再びこの旅に(無理矢理だが)参加した事を後悔していた。そして、暖かい布団にくるまって眠る幸せを思い出し、そのありがたみを痛感していた。

朝の大山②

しかし徐々に日が昇り空が白んでくると、峰々の奥に雄大な大山の姿が浮かび上がって来た。私はこれまで山に特別な感傷を抱く事はなかったが、その堂々たる大山の姿を目の当たりにし山岳信仰の一端を知った気がした。昨夜は人の手で造られた完成美に心を動かされたが、夜明けの淡い光をその頂きに受ける大山は、人の手では決して造れない大自然の完成美を私に知らしめた。
ちなみに、写真を見ていただければ一目瞭然だが雲海は発生しなかった。「うん…かい?」くらいのガスは少し発生(写真①参照)しているが、まさに海の如く裾野を覆い尽くす雲は見えなかった。その代わり、我々にしては珍しく雲のない青空を切り取る事が出来た。
リタイアしたオジさんが朝早くから山の写真を撮る気持ちなどこれまでは理解すら出来なかったが、こうして雄大な自然を前にすると、切り取る価値のある風景だと思えた。…と云いつつ、やっぱり夜明け前は暖かい布団にくるまって惰眠をむさぼっている方が私には幸せだ。私にとっては、“朝寝は三文以上の得”である。

朝の大山③

この後我々は大山の麓まで車を走らせ、前回の旅では高速道路上で見送るだけだった大山を堪能した。山を愛でる心のない私にも、この山が特別である事は分かった。旅の最終日になって心が洗われる気がした。相変わらず早朝から行動している我々には時間の余裕がある。次の目的地は、私が初めて希望し(渋々)採用された目的地だ。青い空の下、寒さも眠気も(私だけ)和らいでいく気がした…


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