旅の思い出22「幻想的な夜の長崎ランタンフェスティバル❷」

長崎旅行⑤

中華街で本場の中華料理を堪能し(過ぎ)、(私だけ)胃袋がはち切れんばかりで歩くのが困難なまま、我々の長崎ランタンフェスティバルは幕を開けた。

ランタンフェスティバル①

中国の旧正月を祝う行事・春節祭を起源とするイベントとあって、まさに“祭り”と呼ぶに相応しい派手さとどこかノスタルジックな郷愁が混合する不思議な光景が我々を包み込んでいた。私は中国の土地や文化に馴染みがある訳でもないが、どこか懐かしく、胸を締め付けられるような美しさが確かにそこにあった。町を歩き廻る内に、自分が異国の町を歩いているかのような錯覚を覚えた…それだけ長崎という町が中国やオランダという異国の文化を寛容に受け入れてきた事の証だろう。
川を渡るそよ風に揺れるランタンを眺めながらロマンチックな気分に浸っていた40前のオッサンも、風に混ざり始めた雨に(文字通り)水を差されてしまった。

孔子廟①

この、写真や動画を撮る為の最高の舞台を前にして、またしても我々を苦しめる雨に成す術も無く、とにかく雨が上がる事を信じて我々は孔子廟に急いだ。孔子廟とはその名の通り儒教の開祖である孔子様を祭った“お社”とも言える建物で、長崎に暮らす中国人華僑の有志によって1893年に建てられたというから驚きだ。塀に隔てられたこの建物に一歩足を踏み入れると、そこは正に“中国”そのものだった。

龍踊り

我々がこの孔子廟を訪れた最大の理由は、長崎の伝統行事・龍踊り(じゃおどり)の演舞が見れると聞いていたからだ。やはり長崎に来たからには龍踊りを見ずに帰れるか…と気合いを入れていたが、この孔子廟に着く前から降り始めた雨が強まってきて、紙で出来た龍踊りの龍がダメージを受ける可能性が出てきた。この時ほど雨雲を呪った事はこれまでの人生ではないだろう。空を見上げて落胆する龍踊りメンバーと我々観光客を孔子廟の隅で見つめていた「相談役」風のオジさんが俄に立ち上がり、龍踊りメンバーに声をかけ始めた。オジさんは「せっかく来てくれたのに龍踊りを見せられないのは申し訳ない、雨が小振りになってきたから龍踊りの型をお見せします」と言って、メンバーたちに龍踊りにおける“決めのポーズ”を作らせてくれた。半ば諦めていた龍踊りの龍が孔子廟の中央広場で命を吹き込まれる様は、色々な状況も加味して涙が出そうになるくらい感動的で、美しかった。何より長崎っ子の心意気に心から感謝した。この機会を我々3人がただ眺めているはずも無く、最前列でかぶりつくように撮影した事は言うまでもない。今にして思えば、我々の後ろに居た観光客の写真には我々3人の間抜けな後ろ姿が貴重な旅の思い出の一部として写り込んでいた気がして、今更ながら申し訳ない気持ちになっている…

稲佐山の夜景

龍踊りを見学出来て満たされた我々は、今夜の宿に帰る前に日本三大夜景に数えられる長崎の夜景を一目見ようと稲佐山に向かった。しかし龍踊りの時には奇跡的に上がっていた雨が、再び我々に襲いかかった。稲佐山展望台に向かう我々の車に当たる雨は徐々に雨脚を強めているようで、我々が展望台に着いた時には“百万ドルの夜景”も霧でぼんやりと滲んで見えた。展望タワーの屋上で暫く粘ってみたが雨に加え風も出てきて、横殴りの雨の中数枚の写真だけを撮り退散するしか無かった…孔子廟で中国式に乗っ取って線香をあげたにも関わらず、またしても天気に裏切られるとは…「子曰く、別に天気の神とかじゃないし」…そんな「論語」はもちろん無い…


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