旅の思い出30「宇野港の朝」

瀬戸内国際芸術祭①

2013年4月17日朝8時、私は岡山県にある宇野港を荷物を抱えて走っていた。
何故私が走っているかというと、フェリーの出航時間が迫っていたからだ。何故私が岡山県に居るかというと、また(いつものメンバーで)新しい旅に出てしまったからだ…

前回良い思い出のまま終了した長崎旅行から2ヶ月近く経った頃、今度はメンバーYが瀬戸内国際芸術祭に行きたいと言い出し、メンバーKもそれに賛同し始めた。瀬戸内国際芸術祭とは、その名の通り瀬戸内の島々にアート作品を展示する国際的なイベントである。“国際”というだけあって世界中から様々なジャンルのアーティストが参加する、3年に一度のアート・フェスティバルである。私は「2人で行ってくれば?」と突き放しにかかったが、2人とも私の話など聞いていない。計画は着々と(私への報告の無いまま)進行し、私は私の意思とは関係なく、またしても夜中の道路をひた走っていた。前回の長崎旅行の前に私は愛車をハイブリッド・カーに買い替えており、そこに目を付けたメンバー2人は今回の宇野港までの道のりに私の新車を(勝手に)当て込んでいた。…要するに運転手である。

4月16日23時頃、山口県の国道2号線を走る私は、早速後悔していた。夜中の国道2号線は片道1車線のカーブの多い道にもかかわらず、運送会社のトラックによって高速道路と化すのだ。買ったばかりの(ローンがたんまり残った)愛車を傷付けたくない私は高速道路に乗るまではのんびり安全運転を心掛けていたのだが、後ろを走るトラックの猛攻を受け、(不本意ながら)スピードを出して走った。…まるでスピルバーグ監督のデビュー作「激突!」の主人公の気分だ。途中のS字カーブなどはモナコグランプリの様相を呈し、私は激しくハンドルを切りながら「このままウチに帰りたい」と心から願った。運転しながら眠気に襲われた私はある事に気付いた。私は眠くなっても、保険の条件で他のメンバーに運転を代わってもらう事が出来ないのだ。…旅に出てから気付くのも遅過ぎるが…

岡山県 宇野港

4月17日朝、どうにか無事に宇野港に着いた我々(というか私)は疲れ果てていた。途中トラックの猛攻を避けて逃げ込んだコンビニの駐車場で仮眠をとった意外は、高速道路も含めてぶっ通しで走り続けていたからだ。我々の旅にしては珍しい朝陽と青空が疲れた私の目には眩しかった。港のオッサンに聞き込みをするともうすぐ朝一番のフェリーが出るという。駐車場からフェリー乗り場までは少し距離がある。私は疲れた体に鞭打ってダッシュする事を強要された。
新たな旅はまだ始まったばかり…
今回もまた、ハードな旅になりそうだ…


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