旅の思い出43「新たな計画」

番外編②

前回まで、3度の山陰〜長崎〜瀬戸内と、車で行き帰り出来る範囲で時間の許す限り旅をしてきた我々3人には新たな計画があった。
我々が旅に出てこれまで撮り貯めた旅先の写真を「展覧会」という形で世間に発表するという、「趣味の写真」から一歩踏み出したイベントだった。言い出したのは例によってメンバーKだったのだがメンバーYも乗り気で、実は私も内心意欲的だった。
私は芸大を卒業しているので複数のグループ展や個展を経験していたし、その意義も理解していた。展覧会という形で(広くはないが)世に発表するという事は時に厳しい批評にも晒される事でもあり、ただ自分の為だけに…言わば自己満足の為に撮っていた写真から“作家の作品”へと観客の目も自身の認識も変わる転換点だと私は考えている…が、他の2人のメンバーはいつも通り能天気だった。メンバーKは「ネコの写真をいっぱい飾る!」とか言ってるし、フィルム派のメンバーYは「フィルムをデジタル化するの面倒くさい」とか言い出す始末。私には、計画の最初から暗雲が立ちこめている気がしてならなかった。
何はともあれ作品を展示する会場を決めなければ話にならない。そこで我々メンバーの“低価格検索エンジン”または“歩く価格.com”の異名を持つメンバーKが出来るだけ料金の安いギャラリーを検索してくれた。低価格な宿や施設等をインターネット上で検索させたら日本でも5本の指に入る(と勝手に思っている)彼女の才能(?)のお蔭で我々は旅先で宿泊費を抑える事が出来ていた(ヒドい目にも遭ったが…)。
我々は会社の定休日を使ってメンバーKが絞り込んだ3つのギャラリーを巡ってみる事にした。ネット上であらかじめ認知していたが、ギャラリーのレンタル料金はそれほど安いモノではない。通常展覧会は一週間毎の会期で行われ、展示を行う者の予算やギャラリーの空き状況によって会期が決定する。山口市内のギャラリーを2つ廻って私以外のメンバーに少々落胆の色が見えた…現実は厳しく、レンタル料金は高かった。

オーナーの福永さん

3つ目のギャラリーは湯田温泉街から少し住宅地に入った地域にあるのだが、この場所が驚く程分かりにくい。私はギャラリーに続く曲がり角を2度も見落としてしまった。
ようやく到着した「Gallery Oasis」さんに入るとギャラリーの人らしきオジさんが床に広げたパネルに絵を描いている所だった。事情を説明するとオーナーの福永さんは親身になって我々の話を聞いてくれ、一緒に居た福永さんのお姉さんも厳しくも優しい言葉で我々を激励してくれた。
その言葉は、打ちひしがれた我々の心に深く染み込んだ…




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