旅の思い出45「雨旅、完結」(最終回)

番外編④(最終回)

グループ展「雨旅」の搬入の日、空は晴れ渡り快晴の1日だった。

搬入中…直前まで我々3人を悩ましていた展示作品もようやく決まり、我々は作品をギャラリーに運び込んだ…と言っても、額はギャラリーから貸し与えていただいた物だし写真を展示する為のマットも大きなモノを福永さんが我々の作品用に切っておいてくれたので我々はほとんど額を飾りに行ったようなモノだ。だが、その展示が中々難しい。壁に飾ってみると高さや水平が気になって再び調整する…を繰り返して1つの作品を飾るのに随分時間を費やしてしまった。また、私個人は映像の上映もあったのでプロジェクターの位置調整もしなければならない。ギャラリー側の予定で16:00までに完了しなければならない搬入は大幅にずれこんでいった。誰よりも多くの写真を展示する予定のメンバーKは結局オーナーの福永さんと福永さんのお姉さんの助力を

メンバーYの作品得てようやく形になっていた。メンバーYは最後まで作品の位置関係に悩んでいるし、私は用意していたDVDプレーヤーの調子が悪く、作ったDVDが再生中にノイズが出たり飛んだりするトラブルに見舞われた。突然のトラブルは我々の旅では日常だったが、まさかこんな場面でもトラブルが起こるとは思わなかった。搬入前の予想を大きく上回る苦労の末、ギャラリーのお2人にも大いに迷惑をかけて我々の展示はようやく形になった。自分の写真(私は3点だけ写真を展示した)にライトがあたった時の感動は今だに忘れられない。その後、2週間の会期中様々な人の来場があったが我々は仕事の都合であまりギャラリーに居る事が出来なかった。後で芳名帳を見て感謝したり喜んだりしたものだ。

メンバーKの作品ギャラリーオアシスさんは建物自体が新しくキレイだが立地が分かりにくい場所にあり、その事でも来訪者を困らせてしまったようだ。知人が訪ねてくれた時には「迷いましたよ!」とこぼしていた。しかし、グループ展会期中には我々の知人・友人を含めて多くの方々に来場いただき、ギャラリーのオーナー福永さんによると、ギャラリー開設以来の大入りだと言ってもらえた。私が上映した動画作品は、ただの旅の記録ではなく私自身の心情も含めて“記憶”と“記録”のギャップをテーマにし、わざと断片的に時系列を無視して編集する事によって人間の記憶の曖昧さや、突然浮かび上がる記憶の断片を表したつもりだ。こだわった音楽にはコルシカ島の民謡「糸を紡いでいた時」を選んだ。

私の動画作品この、美しくも悲しいメロディーが冬を中心とした映像に良く合った…が、会期中はずっとこの音楽がギャラリー中に響いており、ポップな展示をしていたメンバーKの作品には合わなかったのが申し訳なく思うのと同時に「こんな曲が好きだなんてオレは根暗なんだな」と再認識した。

…こうして45回にわたって綴ってきた我々の「雨旅」は、完結した。
最後に展覧会というカタチで世に出せた事は本当に良かったと思う。
このブログを書くにあたり、我々3人で巡った全ての旅を記憶をたどりながら書き起こす作業は苦しくも楽しい作業だった事を付け加えたい。
ギャラリーでのグループ展を終えてほどなく、メンバーKは会社を辞め、オーストラリアに旅立った。我々3人の「雨旅」はこの時点で完全に終了したのだ。
私にとって素晴らしい旅の思い出は永遠に心に残る事だろう…しかし、メンバーKがオーストラリアから帰ってきて再び「旅に行きたい」とか言い出したら、今度という今度こそ断固として断るつもりだ…




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