微妙な小旅行②

尾道無計画ツアー

私の参加する旅は無計画な事が多い。私が旅のプランを任される時には出来るだけ事前に下調べをし、調子が出てくると「旅のしおり」的なモノまで作ってしまう。しかし、そこまで綿密な計画を練ってしまうと計画に準ずる事が旅の目的になり兼ねないし、せっかく時間に追われる仕事を離れて旅をしているのに現地でのスケジュールを守る為に旅先でも時間に追われる羽目に陥り本末転倒になってしまう。以降、私の中では旅は「ざっくりと計画して後はアドリブで」が流儀になっている。今回の立案は私ではないが、ここまで無計画な旅行だとやはり計画の重要性を考えてしまう…

午前9:00、メンバーNを迎えに行くため我々は彼女の住む小郡のマンションの駐車場でぼんやりと過ごしていた。到着前に連絡を入れると、つい先ほど起きたという返事…我々は彼女のマンションの駐車場で彼女が出てくるのを待っているのだ。
この時点で計画は30分遅れ、ようやくスッピンで出て来たメンバーNを乗せて防府市に入った頃には40分以上の時間をロスしていた。
この日は、我々の会社の定休日である火曜日と祝日が重なり(不本意ながら)いつもより連勤した振替休日の日、貴重な休日を返上しての日帰り旅行だけにメンバー全員がスタートからやや疲れ気味だった。メンバーNはもちろんの事、私とメンバーYもこの日の朝は朝食を摂る時間を惜しんでギリギリまで寝ていたのでメンバー全員が空腹状態だった。
山陽自動車道の下松サービスエリアでパンを買ってようやく空腹を満たした頃にはすでに11:00を廻っていた。私は高速道路を走りながら、広島県の山々が雪で白く染まっているのを見て行く先に不安を感じていた。広島の中心を抜ける頃には道の両側にまで残雪があり、先週までの全国的な寒波の爪痕を垣間みた。疲労した体を引きずって(無理矢理)運転手として参加する私個人としては、いっそ目的地の尾道が雪で通行止めになってくれていても構わなかったのだが、高速道路上の雪は(当然だが)見事に除雪され、アスファルトは乾いてさえいた。我々の眼前に広がる景色は曇天の空と共にモノクロームに染められ、私の気持ちを更に萎えさせた。

尾道インターチェンジから高速道路降りて尾道市内に入った頃、私は見覚えのある風景にデジャヴを感じていた。私は以前に雨旅メンバー(詳しくは私の旅ブログ・旅の思い出シリーズで)と尾道を訪れた事があったのだ。その日は雨旅メンバーらしく前日の晩から出発して朝早く尾道に到着する(相変わらずの)強行軍だったが、私が尾道に着いてから激しく体調を崩して寝込んでしまい、雨旅の旅らしく我々が尾道に滞在する間ずっと雨が降り続くという最悪の思い出が、見覚えのある風景によって呼び覚まされていたのだ。
私は久しぶりに訪れた尾道の千光寺駐車場を歩きながら、当時私がこもった公衆トイレを複雑な気持ちで眺めていた。あの時と変わらず天気は良くないが、あの時と違って体調は良い。我々はまだ雪の残る尾道の坂をゆっくり降りて行った。

尾道ラーメン・つたふじ

無計画な我々は、とにかく昼食を摂る為に港の近くまで歩いた。目的の昼食は尾道ラーメンだ。私が前回尾道を訪れた時、体調不良の為に何も口にせずに帰る羽目になってしまった事が山口に帰ってから悔やまれてならなかった。あれ以来、本場・尾道で尾道ラーメンを食べる事が私の目標になったと言っても過言ではない。我々は冷たい風の吹き付ける港を歩いてようやく1軒の老舗らしいラーメン屋にたどり着いた。

つたふじのラーメン

この「つたふじ」さんに入って先ず驚いたのは、店が外観の予想よりも狭く店の面積のほとんどが厨房に充てられている事だ。客席は厨房を囲むようにカウンター席が設けられ、客は10人を超えると座れなくなるだろう。しかし出てきたラーメンは、飾らないがしっかりと良い仕事をしていると感じる好印象のラーメンで、尾道ラーメンらしい、魚のダシがしっかり効いていた素朴だが美味いラーメンだった。

「つたふじ」さんで身も心も温まった我々は、無計画なまま「おのみち映画資料館」と「おのみち歴史博物館」をぼんやりと通り抜け、商店街の中にある「尾道浪漫珈琲本店」で一息入れる事にした。胃の中で尾道ラーメンの後味を堪能していた私には信じられなかったが、私以外のメンバー2人は迷わずワッフルとコーヒーのセットを注文し、キレイに完食していた。商店街を出て帰路についた我々は、神社に寄り道をして帰りに立ち寄るつもりだった「招き猫美術館」の入り口で愕然とした。閉館時間の17:00を僅かに2分過ぎていたのだ…無計画、ここに極まる…仕方なく我々は降りて来た坂道を息を切らしながら上がって行った。着いた時から曇っていた空は徐々に暗くなっていた。我々は、帰りになってようやく遭遇した猫と暫し戯れ、帰路についた。

今にして思えば、朝目覚めて、夢うつつのまま1日を過ごしたような、そんな捕らえ所の無い日帰り旅行だったように思う。この記事を書くにあたって記録した動画を編集しながら、「夢うつつ」の割には意外と楽しそうにしている自分自身に驚いた。まあ、たまには、こんな計画性の皆無な旅も良いのかもしれない…が、せめて旅に出る季節くらいは考えなければならないと思う。尾道は、春か夏がお勧めである。少なくとも、我々のように雪の残る2月に尾道を訪ねる事は個人的におススメ出来ない。次は、夏の尾道を見てみたい…


関連記事