写真ツワモノ道③

③第27回関門海峡花火大会編

以前から私のブログの中では、写真を趣味とし有り余る時間を一瞬のシャッターチャンスの為に費やす人々を尊敬(とやや呆れた感)の念を込めて「ツワモノ達」と呼んできた。

今回は私自身が“ツワモノ”となって他のツワモノ達と戦わなければならない…花火大会の季節が再びやってきたのだ。今年は仕事の都合でなかなか参戦が難しい上に台風の影響で順延になる大会が多く、ますますスケジュールが合わせにくくなっている…今年の闘いは厳しくなりそうな気配である。

巌流島から見た火の山公園

前回“不完全燃焼”で終えた萩の花火大会の次に挑んだのは、去年も参戦した関門海峡花火大会である。去年は火の山公園からの撮影に挑んで他のツワモノ達と持久戦を繰り広げたが、今年はもう少し快適(?)に花火撮影を楽しもうと火の山公園とは打ち上げ場所を挟んで反対側に位置する巌流島に決戦の場を選んだ…まさに佐々木小次郎の心境である…
去年よりもゆとりを持って自宅を出た我々は、下関市内で優雅に昼食を摂っていた…というのも、去年の(第26回)関門海峡花火大会で巌流島から撮影したツワモノ仲間からの情報によれば“ツワモノ・ライバル”率は高くなく、島は案外広くて撮り易いと聞いていたのだ。去年は花火打ち上げの

打ち上げ前の巌流島

7時間前(正午頃)に現場に入ったにもかかわらずベストな撮影ポジションが無人の三脚に埋め尽くされており、仕方なく確保した場所を他の“ツワモノ達”を牽制しながら死守した持久戦を展開したので、今年はもう少し優雅に花火撮影を楽しみたいと考えたのだ。
しかし事態はそれほど甘くなく、我々と同じ事を考えている人間は必ず居るもので午後3時頃下関市彦島の江の浦町に入った我々は炎天下の中、数十人の列の後ろに並ばなければならなかった。しかも渡しの舟はそれほど大きくなく、人間は最大で10人前後しか乗せられず、我々は実質1時間以上を船着き場の側でぼんやりと過ごした。

巌流島から見た花火①

ようやく舟に乗り込めたかと思うと、あっという間に舟は巌流島に到着し、これまでの待ち時間がバカバカしくさえ感じられたが、私個人にとって(山口県民でありながら)初めて上陸する巌流島に少しばかりテンションが上がっていた…
上陸してまず驚いたのは、予想していたよりも島が広い事だった。私は武蔵と小次郎が決闘した島だから、無人の小島に違いないと勝手に想像していたのだが、島の中央部には草原があり野球の試合くらいなら軽く出来てしまう広さがある。島には自動販売機こそ見かけなかったが店を出している人も居るし公衆便所もちゃんとある。また、テントやバーベキュー

巌流島から見た花火②

コンロを持ち込んでいる人も見かけたのでテントで寝泊まりする事も出来るのだろう。夏休み(大人はお盆休み)にはうってつけの場所だと云える。私は個人的にバーベキューコンロを囲む人達の持つビールがひたすら羨ましかった(今回は私が運転手だ…)。関門海峡に向かった海岸沿いに三脚を据えた私は、他のツワモノ達の様子を観察しようと島中を歩き回ってみた。去年巌流島で花火を撮影した“ツワモノ仲間”の話通り島の海岸は案外広く長く、去年の私のように火の山公園の狭い空間で他のツワモノ達を牽制する必要も無い。ツワモノとカップルが等間隔で並ぶ不思議な海岸線が形成されていて、後ろから見ていると面白い…私も“ツワモノ”側だが…

巌流島から見た花火③

こうして、去年の火の山公園とは比べ物にならないくらい優雅な2時間を過ごし、万全の体調と精神状態で花火大会を迎え撃った
花火が打ち上がり始めると、予想していたよりも近くに上がるので少々戸惑ってしまったが思い切ってズームして撮影すると映像に迫力が増し、我ながら満足いく撮影が出来た。三脚を並べて撮影していたYは主として写真を撮っていたが、この日は強い海風が吹き、花火が“流れる”と嘆いていた。瞬く間に1時間が過ぎ、2014年の「壇ノ浦の決戦」は幕を閉じた。個人的には満足いく動画が撮れたと自負している。清々しい気持ちで機材を片付け、船着き場に向かった我々は愕然とした。

我々と同じく帰りの舟を待つ人が我々の眼前に、ざっと100人以上並んでいるのだ…しかも彼等をピストン輸送する舟は昼間に我々を運んでくれた10人前後が限界の舟…私は目眩を感じた。
次の日は会社で撮影の仕事が入っている…今夜眠りにつくまでの時間を逆算して憂鬱な気分になった。我々の前に並ぶ長蛇の列は国会の牛歩戦術よりも遅く、さきほどまで大活躍してくれた私の機材は重く私の肩に食い込んだ。

…こうして、気の遠くなるような…老人の歩みをU・ボルトの走りと見間違えてしまう程ゆっくりとした2時間を経て、我々は巌流島を後にした。(去年と違って)優雅に撮影出来ていたはずの関門海峡花火大会であったが、まさか最後の最後に落とし穴が用意されているとは思いもよらなかった…
結局私が自宅に帰り着いた頃には午前1時を廻っていた。やはり、「花火大会」という戦場は一筋縄ではいかない…そんな、地べたで汗ばむ私を尻目に2014年の夏は何食わぬ顔で過ぎ去ろうとしていた…


関連記事

Categories

Instagram