Artの在る風景 #2

#2.コレクティブ:EAS_Y vol.01展

2015年に入って新連載を始めた「Artの在る風景」ですが、今回ご紹介するのはこの微妙なタイトルに相応しい(?)、山口駅通りの空き店舗などを利用し、地域の若手芸術家育成を目的に作品を展示する、まさに山口駅通りが“Artの点在する風景”と化すアート・イベントなのです。
会場は山口駅通りのN3 ART Labを中心に、空き店舗等を利用して4箇所用意され、各会場で7グループが作品を発表しています。
各グループごとに“中堅”アーティストと“若手”アーティストが、時に共同作業で、時に反目(?)しながら互いの個性をぶつけ合って(そう個人的に見えた)いるのが面白く感じられ、4つある会場の扉を開けるたびに全く違う雰囲気に仕上がっているように感じました。

松尾宗慶×臼杵万理実

“瑠璃色”を共通のテーマにしながら、
全くタイプの違う2人の作品が簡素な内装のN3 ART Labの空間に映えてました。

  • 臼杵万理実 作品
  • 松尾宗慶 作品

大中和典×the temporary space

今回のテーマである、「資源 × 探求 × 記録 × 集合」が色濃く出ていた展示だったように感じました。
陶芸家である大中氏が、the temporary spaceのメンバー2人と共にあえて普段とは違う“設定”で普段とは違う表現法にチャレンジしているのも面白いと思います。

  • the temporary space 作品
  • 大中和典 作品
  • the temporary spaceのパフォーマンス

澤登恭子×松野真知

現役で酪農家(!)をしているという松野氏が会場に敷き詰めたワラを踏みしめる食感と匂いが、
澤登氏のバスタブに満たされた牛乳(!)に浮かび上がる映像と相まって、まるで原初の夢を見ているようでした。

  • the temporary space 作品
  • 大中和典 作品

原井輝明×宮本陽介

山口県田布施町で絵画によるアートセラピーを実施している宮本氏が教室の中で子供たちに「夢」をテーマに絵を描かせて、その原画を宮本氏がゴム印に、原井氏が3次元絵画にしたそうです。
元・裁縫教室だったというレトロモダンな建物の朽ち具合も相乗効果で立ち眩みを感じました。

  • 宮本陽介 作品
  • 原井輝明 作品

ノーヴァヤ・リューストラ×甲斐小夜子

着なくなった衣類を中心に、タテ糸とヨコ糸の組み合わせで“オリジナル”織り機を創作する企画だそうです。
ちなみに「ノーヴァヤ・リューストラ」とは、ロシア語「新しいシャンデリア」の意味だそうです。

  • ノーヴァヤ・リューストラ×甲斐小夜子 作品
  • ノーヴァヤ・リューストラ×甲斐小夜子 作品

スタジオイマイチ×山口功

身体表現を中心に活動するスタジオイマイチのメンバーと山口氏のコラボレーションは、例えば「下校」をテーマに市民から集った“記憶の風景”を写真で展示し、写真を撮った場所を糸とシールで示す作品です。
これは私個人の「心象風景」と若干重なるところがあって共感できました。

  • スタジオイマイチ×山口功 作品
  • スタジオイマイチ×山口功 作品

白川美幸×森下義昭

“山口の日常”というテーマで展示された狭い会場は一種独特の雰囲気で、
独自の視点で日常を切り取った森下氏のどこか“クール”な絵と白川氏のどこか“暴力的”なビデオアートの対比が面白い効果を生んでいるように感じました。

  • 森下義昭 作品
  • 白川美幸 作品

開催中の「コレクティブ:EAS_Y vol.01」を見て廻ってみて、山口市を中心とした地域の文化的なレベルは、かつて10代だった私が感じていた“低さ”では無いと確信しました。
秋吉台国際芸術村にしろ、山口情報芸術センターにしろ、まだまだ県民地域全体と深く結びついているとは言い難いですが、“中堅”や“若手”のアーティストの作品に触れて、これらの施設や活動が市民の中に“何かしらの種”を蒔いていたのだと感じましたし、山口県民の1人としてその事を嬉しく感じました。
今回発表した作家さん達のみならず、私の知らない、地道に活動しているアーティストたちにもっと会って話がしたいと心から思いました…

開催期間:2015年2月1日(日)〜2月8日(日) 12:30〜18:30
山口駅通りを中心に4会場で開催中


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