Artの在る風景 #10

#10. ハナブサ・リュウ写真展「肖像無垢」

…これまで様々な展覧会を(関係者の皆様に無理を言って)取材してきたこのシリーズも今回で遂に10回目を迎えました。個人的には、他のStudioECHOブログ記事と比べても手間のかかるこのシリーズを続けていく事が出来るのか不安に思う事もありましたが、こうして10回という節目を迎えられた事を本当に嬉しく思います…まだまだ続けていきますが。

そんな(個人的に)記念すべき節目の回にご紹介する展覧会は山口県山口市にあるAtelier SERENO-アテリエ セレーノ-さんで開催中の写真展、ハナブサ・リュウ先生の「肖像無垢」のご案内です。

ハナブサ・リュウ先生今回個展を開催されたハナブサ・リュウ先生は、フランスのパリに長く滞在しながら
数多くの写真を発表してこられた写真家で、日本国内でもヌード等の女性の美を追求した写真集を数多く出版されています。

1949年に大阪の高槻に生まれたハナブサ先生は、7歳の時に「入学祝いとして何が欲しい?」と両親に聞かれて即座に「カメラが欲しい」と答えたそうです。
ハナブサ先生が7歳だった1950年代の日本では二眼レフカメラの大ブームが起こっていたそうで、当時カメラ好きだったハナブサ先生の父親は洗濯機を買う予算を二眼レフカメラ購入に充て母親と大ゲンカするほどだったそうで、そんな父親が大切にしていた“カメラ”というモノに憧れがあったと語っていらっしゃいます。

そんなハナブサ先生が高校を卒業する頃には、ファッションデザイナーを将来の仕事として志すようになり、実際に専門の学校にも入学されたそうです。
当時のハナブサ先生同様にファッションデザイナーを志すヨウジヤマモト氏等の“意識の高い”デザイナーの卵たちの傍で、共同作業としてのファッションの仕事に「挫折感を感じた」と語っていらっしゃいます。

セレーノの中村オーナーそして「俺には写真しか残ってない」と感じたハナブサ先生は30歳を迎える前に「人生を変えよう」と思い立ち、単身フランスのパリに渡ったそうです。
パリに渡ったハナブサ先生は、個人商店の店主やその店に集う人々の生き生きとした姿を見て「よし、ここに住もう!」と決意し、1979年から4年間、そして1991年からは8年間パリに暮らし、ポートレイト写真を中心に精力的に撮影したそうです。

今回山口市にあるAtelier SERENO-アテリエ セレーノ-さんで個展をするきっかけになったのは、セレーノのオーナー・中村ありさ さんがニッコールクラブの会員であり、山口県内で開かれたニッコールクラブのイベントで顧問として来られたハナブサ先生に自分のギャラリーで個展を開いてくれとオファーしたのがきっかけだそうで、「その内に…」と言うハナブサ先生に粘り強く交渉を続け、実に10年越しの交渉でようやく開催された“貴重な”展覧会なのです。
今回の展覧会ではハナブサ先生がパリで撮影した映画俳優やミュージシャンの写真も数多く展示されていますが、私が個人的に驚いたのは(まだ新人女優の頃だったとはいえ)ソフィー・マルソーが犬を散歩させている(完全なる)オフ・ショットで、しかもその表情や雰囲気の自然さでした。
私自身、フォトグラファーの端くれとして、被写体に、いかに自然体になってもらうかでとても苦労しているだけに、このショットの凄さは、語る口調も静かで穏やかなハナブサ先生ならではの雰囲気作りなのだろうと余計に感じ入ってしまいました。

写真には、撮影者自身も写る…というのは私の経験上の持論ですが、写真から滲み出る“優しい”雰囲気はハナブサ先生自身が投影されているからなのでしょう。
そんな、“貴重”“優しい”展覧会を是非ご覧になってください…

  • 「肖像無垢」①
  • 「肖像無垢」②
  • 「肖像無垢」③
  • 「肖像無垢」④
  • 「肖像無垢」⑤
  • ハナブサ・リュウ先生

開催期間:2015年9月4日(金)〜2015年9月13日(日) 10:30〜18:00
会場:Atelier SERENO-アテリエ セレーノ-(山口県山口市下市町8-17-1-A101) Tel:083-923-4141


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