Artの在る風景 #11

#11. フジタ カイ/トクナガ リョウスケ写真展「dope in trip out」

これまで10回にわたって様々なギャラリーを訪ねてご紹介してきたこのArtブログ・シリーズですが、
今回ご紹介する展覧会は、さすがの私も“初めて”経験する、お酒屋さんが運営するギャラリーの展示です。

実は今回の「dope in trip out」、私が以前に勤めていた婚礼業界の会社の、私が辞める直前に入社してきた最も若いカメラマンの後輩(私からすれば息子のような年齢差)の、人生初の展覧会なのです。
だからと云うワケでもないですが、私の子供(後輩)たちの中でも“末っ子”の展覧会をしっかりとこの目に焼き付けてやろうと思い、勇んで、(勝手に)ハードルを上げて会場を訪れました。

ウミネコ酒店横のギャラリー入り口今回会場になっているウミネコ酒店さんは、まごう事なき正真正銘のお酒屋さんで、聞く所によると閉店を決めた古いお酒屋さんの店舗を現・店長が改装し、新たに立ち飲みも出来るお酒屋さんとして引き継いだのがこのウミネコ酒店さんという事らしいのです。このウミネコ酒店の入っているビル自体は、築60年にもなる古いビルで、特に2階より上の階は増築増築を重ねた、一種の“リトル九龍城”の様相を呈していて、現在は天井も外され、2階から3階までが“吹き抜け”(?)の開放的(?)で、まさしく“廃墟”と呼ぶに相応しい、独特の空間になっています。

防府市の中心街の通りに面したお酒屋さんの、隣の店舗との間に設けられた“狭く急な”階段は、まさに異空間への入り口として通る者の常識を覆す“一番最初の演出”として機能しているのかもしれません。私自身、初めてこの階段を登り、登りきった眼前に広がる空間を目にした時には度肝を抜かされました。

そんな、(色んな意味で)“ディープ”な会場で人生初の展覧会を催した若い二人、
フジタ カイさんとトクナガ リョウスケさんは普段から趣味で写真を撮り続けていて、
特にフジタさんはポートレイト写真にこだわり、

作家の2人しかも俄然死にゆくメディアであるフィルム(それもブローニー版)にこだわって写真を撮り続けているそうで、今回の展示も撮り貯めているポートレイト写真の中から厳選したそうです。フジタさんの友人で、今回の展覧会に誘われたカタチで参加したトクナガさんですが、普段からよく旅するロンドンや台湾、北海道などでも常にカメラを持ち歩いているそうです。そんな2人の写真展のタイトル「dope in trip out」を最初に目にした時、その挑戦的挑発的なタイトルに、「若いな〜」という印象と同時に「楽しみだぜ」という感情が湧き上がりました。英語が不得手な私が(無理矢理)訳すと、
「脳内の旅に誘う薬」…とでも訳しましょうか…まあ、要するに、“飛ぶクスリ”のような感覚を、観る者に体感させてくれるのだろうと(大いに)期待していました。

…実際に展示を観て廻り、会場を後にする時の気持ちとして、正直若干の“タイトル負け”感は否めませんでしたが、人生初の展覧会で、あのように“特殊”な空間を使えた事は幸運だったと思います。このウミネコ酒店(の2階)を展覧会の会場として紹介し、企画した、山口発のフリーペーパー「teteyoto-テテヨート-」石川氏の見識も大したものだと思います。

…元はと云えば、私の元・職場の後輩が写真展をすると聞いた事から始まった今回の取材でしたが、終わって振り返ってみると「不思議な経験をしたなぁ」としみじみと感じます。
“廃墟”同然の、薄暗い空間に揺れる若い2人の“静かな”男たちと、彼ら自身のような“静かな”作品群は、会場を後にして暫く経ってからも、時が止まっているような不思議な感覚の残照を私の体に残したように感じました。
そういった意味では、彼らの「dope in trip out」は成功していたのかもしれません…

皆さんも、それぞれの「trip out」を体験しに訪れてみてはいかがでしょう…

  • 「dope in trip out」①
  • 「dope in trip out」②
  • 「dope in trip out」③
  • 「dope in trip out」④
  • 「dope in trip out」⑤
  • 「dope in trip out」⑥

開催期間:2015年11月16日(月)〜2015年11月24日(火) 12:00〜18:00
会場:ウミネコ酒店(山口県防府市天神1丁目6-33) Tel:0835-25-6383


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