Artの在る風景#14

#14. 下瀬信雄 写真展「結界」

今回は、このアートブログではすっかりお馴染み(?)になった、住宅街にひっそりと佇む静かなギャラリーで開催された、“静か”な、それでいて“力強い”写真展をご紹介します。

会場のAtelier SERENO-アテリエ セレーノ-さんは、先にも書いた通りこのアートブログシリーズでは最早“お馴染み”と云っても良い会場で、2015年には#10 ハナブサ・リュウ写真展#12 小田善郎 銅版画展の2回お邪魔させていただいており、今回で3回目の取材となります。
湯田温泉駅にほど近い住宅街の中に静かに佇むマンションの1階部分を改装したギャラリーで、小じんまりとしながらも良質な展覧会を企画される、個人的には好きなギャラリーの一つです。

下瀬信雄 写真展「結界」①そんなAtelier SERENO-アテリエ セレーノ-さんで開催中の下瀬信雄 写真展ですが、「下瀬信雄」という名前を知っている人は、(山口県内では)案外多いと思います。山口県の城下町・萩市で写真館を経営しながらも、写真館の営業写真としての“商品”のみならず、自分にしか撮れない“作品”を追求してこられ、第63回山口県美術展覧会(2009年)で大賞を受賞された他、各方面で受賞も多数で山口県では写真作品で名の知れた稀有な作家さんだと云う事が出来るかもしれません。
長年独自の視点で“結界”をテーマに自然と対峙してこられ、長年の積み重ねが高く評価され2015年には第34回土門拳賞を受賞されました。大判カメラで切り取られたモノクロームの世界は“静謐”でいて“豪快”

下瀬信雄 写真展「結界」②“細密”でいて“大胆”な世界が広がっていて、四角く切り取られた写真の向こう側に無限に広がる自然界の息づかいを感じます。
「結界」とは本来仏教用語で弘法大師・空海が唐(中国)から持ち帰った言葉の簡約だそうで、踏み込んではならない境界線を表している、と下瀬さんは語ります。「古来より我々日本人が培ってきた、自然の中に神を見る価値観」でしか感じ得ない、“日本民族的”な世界観こそ、下瀬さんの「結界」なのかもしれません。そういった意味で、下瀬さんの「結界」シリーズとは“日本人の為の写真作品”なのかもしれません。
細い体に穏やかな口調の下瀬さんご自身からは想像もつかない、強い信念バイタリティのようなものを、会場に並んだ作品からひしひしと感じます。それはきっと、写真館業務の合間を縫って大判カメラを担ぐようにして自然の中に分け入り続けた下瀬さんの“力強さ”に他ならないのだと思います。

そんな下瀬さんの向き合ってきた“結界”の数々を、一度ご覧になってはいかがでしょう…

  • 下瀬信雄 写真展「結界」③
  • 下瀬信雄 写真展「結界」④
  • 下瀬信雄 写真展「結界」⑤

開催期間:2016年4月29日(金)〜2016年5月8日(日) 10:30〜18:00
会場:Atelier SERENO-アテリエ セレーノ-(山口県山口市下市町8-17-1-A101) Tel:083-923-4141


関連記事

Categories

Instagram